つながる、地球・くらし

KKEの現場レポート

北の大自然で未来の循環型社会と向き合う

斜里町一般廃棄物処理施設

世界遺産・知床の未来に関わる現場

斜里はアイヌ語のアシが生えているところという意味の
「シャリ」からきているそうです。
面積は737km²あまり。人口は1万2千人程度の静かな町。
世界遺産の知床で知られ、多くの観光客が訪れるところ。
冬の寒さは厳しく、美しい流氷をみることもできます。
「道東に位置するので雪は少ないかと思っていたのですが、建設中は比較的多くて大変でした。気温もマイナス20度を超えることもありけっこう厳しかったです。」

今回の現場はこの斜里町民の生活を支えるごみ処理場。
市街地から15キロほどの場所にあります。施設の特徴は、一般ごみ、粗大ごみを高温高圧処理によりバイオ燃料化して場内で有効利用するなど、「循環型」の処理を目指していること。世界遺産の町にふさわしい未来を見据えたプラントです。この施設の設計・建設から完成後の運転・維持管理までを行う大きなプロジェクトとなりました。
「この世界遺産・知床にあって、町民の生活などから出る一般ごみを燃料化して有効利用を可能にする意味で本当の循環型社会を目指す施設だと思います。この施設を作り上げることに携われたことはとても良かったと感じています。」

流氷

斜里町 港

斜里町一般ごみ資源化処理施設

ごみを高温高圧処理したものから生成されたバイオ燃料。場内のバイオボイラなどで 有効利用されます。

バイオ燃料を燃やすバーナ

運転・維持管理の経験を設計・建設に活かす

未来を見据えた新しい「循環型」のプラントであるということと、もうひとつ、重要な課題がありました。それは、これまでさまざまなプラントの運転・維持管理をしてきた、たくさんの経験をどうすれば設計・建設に活かせるかがカギになります。
「運転側から見た設計、設計側から見た運転、その両方からの話をプロジェクトの立ち上げの段階からやりました。これはとても重要なことだと思います。実際その成果はいろいろなところで現れていますよ。」

設計段階での綿密な計画が重要と プロジェクトリーダー

スピードと個性を活かすプロジェクト

プラントの設計・建設から実際の運転管理へ安心・安全に引き継ぐまでのプロジェクトチームですから、様々なシーンでの要求に柔軟に応え、提案、実行することが求められます。しかも実際のプラントはごみの受け入れから選別や高温高圧処理、バイオ燃料の製造、排水処理など様々なことを行う施設でもありますから色々な知恵をまとめあげる必要がありました。
「プロジェクトリーダーに色々な権限を与えて、より迅速な判断と行動ができるようになっていたのが良かったと思います。ひとつひとつの問題に効率よく対応して処理できましたね。」 とプロジェクトリーダーの印南(いんなみ)。
「私は焼却部門ですが、設計は主に水処理関連が多く、そのほかリサイクル関連のベテランや、広く色々な業務に関わって来たスタッフで色々な経験の寄せ集めなんです。これが良かった。たとえば焼却関連のスタッフだけで仕事を進めると考えが広がらずにどんどん小さくなってしまう。」
色々な環境で異なる業務に携わってきたスタッフをまとめ
るのは大変ではないかと尋ねました。
「きちんと丁寧に話をしてちゃんとわかりあうことが重要です。これが品質やスピードにつながります。」
お客さんの要求、地域や住民の状況、そして自然環境など様々な条件に配慮して、決められた期限までに答えを出し形にしていく。そのアクションはこの美しく静かな雪景色とは対照的に熱くハードでダイナミックな印象を受けました。

いろいろな経験、様々な個性が集まったユニークなプロジェクトメンバー

斜里岳

厳しい寒さの中で続く冬の作業

「機器の圧力漏れなどは大敵日々点検」
場内にかかわらずはく息が白い。