つながる、地球・くらし

KKEの現場レポート

美しい自然と美味しい水を 未来に届けるために(2)

富山県・流杉浄水場|神通川左岸浄化センター|二上浄化センター

神通川と小矢部川にきれいな水を放流する2つの施設

美味しい水の国、富山は水も自然も美しい場所。ここでのくらしや産業を通って排出される汚れた水は、高度な処理が施され、美しい自然を守るために貢献しています。神通川左岸浄化センター・二上浄化センター。
この2つの施設には下水を処理する時に出る汚泥を高温で燃焼(溶融処理)し、様々な建築資材やコンクリート製品の材料となる「スラグ」を生成する、溶融炉があります。汚れた水がここに集められ、きれいな富山の水となって還って行くための大切な施設です。

神通川左岸浄化センター

射水市の富山新港東埋立地にある、神通川左岸流域の下水処理施設です。ここに集められる下水は微生物によって浄化され、汚泥は完全に無害化され、さらに資源として再利用するための最新技術を駆使した、汚泥溶融処理が行われます。1,350 ℃の高温処理をするため、夏には40℃を超える過酷な現場となります。
普段はあまり意識する事のない下水ですが、水道の水を作るのとおなじように毎日休む事無くこの作業は続けられています。

「当たり前のことですが、事故のない安定した処理運転を毎日一歩ずつ続ける事が一番大切だと思っています。そのためには所員同士の「和」が欠かせません。」
「毎日処理しなければならない下水の状態はいろいろ変化しますが、みんなで協力してうまく処理できたときには達成感があり、うれしい気持ちになります。」

もの静かに、でもあたたかな感じの口調でした。

情報や経験を共有して問題を解決

「いろいろな問題やトラブルはよくあります。でも、これまでのデータをもとにして対応策を迅速に話し合い、判断しています。やっぱり経験が一番ものをいいますね。」
これまで大きな事故やトラブルもなく、安定した運転を続けてこられたことがなによりも大きな成果。ひとつひとつのトラブルを乗り越えたときにはやりがいを感じるそうです。
「神通川左岸浄化センター・二上浄化センター、それから大阪にも1件、溶融炉があるプラントで、お互いにいろいろなデータを共有して、より安全に効率のよいサービスを提供するために経験や知識を生かす努力をしています。必要があればいつでも連絡を取り合っています。」
ひとつひとつの事業所や、ひとりひとりの経験や知恵を共有して活かす、クボタ環境エンジニアリング独自のネットワークがここでも大きな役割を担っているんですね。

二上浄化センター

二上浄化センターは、小矢部川流域の下水道処理施設。所員の毎日は点検がメインの仕事です。
「機械はいつか壊れたりするものですよね。それがいつかがわからない。だから毎日点検するんです。でも単にメーターを見るだけじゃなくて、音や振動、温度とか五感を使って点検するんです。機械が苦しがってる時は感じますね。」
いつもと違う何かを見つけて、少しでも早く問題を見つけ出す。何が正常なのかをきちんと体験と五感で知っているからできる技です。これができるようになるにはそれなりの知識と経験が必要です。
「ベテランの人は何気なく歩いていても、常にセンサーが敏感になっていて、ちょっとした機械の不調も感じとります。ものすごい注意力なんです。」

と入社一年目の社員。安全な毎日を積み重ねていくためには、決して単純な毎日の繰り返しでは無いんだなと実感させられました。
「きつい現場ですが、毎日が新鮮です。新しいことの発見であったり、挑戦をしたりしていますよ。」

縁の下の力持ち

どうしてこの仕事に就いたのですかと尋ねてみました。「この仕事はなくならないですよね。くらしがある限り。地球に優しいというか必要だと思いますし。そんな思いでこの職に就きました。」
でも実際に仕事をはじめてみると、やはり現場のにおいは気になったそうです。
「それでも家族、特に子供には世の中になくてはならない大切な仕事なんだよ、って胸をはって言えるのがうれしいです。」
富山出身、地元所員である思いも特別だそうです。
「この辺りの自然はとてもきれいです。そして、ここの出身の所員はみんなこのきれいな水に誇りを持っています。」
この仕事は、縁の下の力持ち的な仕事だと口を揃えて語ってくれました。
「あまり目立つこともありませんし。ちょっとでも世の中に貢献できれば、支えになれればという思いで仕事させてもらってます。」
まだ雪の残る施設を今日も忙しく動き回る所員。
「環境」に対する思いはひとりひとり、それぞれにあるようでした。