つながる、地球・くらし

KKEの現場レポート

暮らしの安全を守る大型ポンプの大規模メンテナンス

六方排水機場

豊かな水と自然にかこまれた暮らしを災害から守る施設

兵庫県豊岡市六地蔵。JR豊岡駅から車で東に7分ほどの場所に六方排水機場はあります。
豊岡市は日本最後の野生のコウノトリがいた地域として知られていますが、豊かな水量をたたえ悠々と流れる円山川とその支流の六方川の周辺は、昔から大雨が降ると浸水など水害が多く発生する地域でもありました。
円山川の水位が六方川水位より高いために水がうまく排水されずに内水氾濫を起こすためです。
六方排水機場は六方川における内水対策事業として、平成10年からクボタが設備新設工事を行い平成13年に運用開始しました。円山川洪水の六方川への逆流を防止するとともに、六方川の流水を円山川へ排水することで、豊岡盆地の沿川での浸水被害を軽減するという重要な役割を担っている排水機場です。
その中核となる大型ポンプを分解して整備するために取り外すという、大掛かりな工事の現場で担当者に話をききました。

広々とした景色の中をゆったりと流れる円山川

六方排水機場

六方排水機場から見た六方川

大型の工事だからこそ求められる繊細な計画と準備

六方排水機場には2軸式立軸ガスタービンを原動力とする大型の立軸斜流ポンプが2基設置されています。口径が1,000mm以上のものが大型と呼ばれるポンプですが、このポンプは その倍以上の2,200mmで、排水能力は2基あわせて30.0㎥/s。たとえば、25mプールの水量(360㎥として)をおよそ12秒で送り出すことができる計算です。
今回はこのポンプを回す主原動機とポンプ本体の機械整備修理などの大規模な工事が行われました。

 

「統括的に工事全体を管理します。工程を決めて、設計・検査などをあてはめ、最後に工事そのものをまとめるところまでを行います。」

 

現場で行われるのはポンプをひとつずつのパーツに分解して大型の重機を使って丁寧に運び出す工事。重機の配置やトラックへの積み込み、搬出まで緻密なオペレーションを安全に、スムーズに行うことが求められます。

「準備には数ヶ月かかります。これまでの経験と過去の記録、データなどを照らし合わせて工程・計画を組み立てますね。」

口径2,200mmの大型ポンプ

解体された機器を大型重機で搬出

工事の安全と進捗を管理

地域の暮らしの安全を支えているという使命感

環境プラントやポンプ場などの施設はその地域の環境や特性、暮らしの状況などに合わせて必要なインフラです。この工事は水害から市民を守るために重要な役割を担う六方排水機場の排水能力を一部又は半分を止めての作業ですから、その工期と品質を守ることは最も重要です。

 

 

「市民生活に支障がないようにしていきたいっていう気持ちがありますね。
大切なインフラに携わっているという使命感のようなものがお客様の満足にもつながると思います。」

 

そのためには徹底した事故防止を最優先に、様々なリスクを検討して低減していくためのフレキシブルな対応が欠かせません。

ポンプを動かすガスタービン

運転操作室

チャレンジを支えるクボタグループの実績

クボタグループがタービンポンプ1号機を完成させポンプ事業に本格参入したのは1952年。1960年代には大型ポンプの製造も行うようになりました。
ポンプは様々な施設内の装置のひとつとして扱われることが多く、そのため様々な地域や施設で多様なニーズや課題に応えるという実績を積み重ねて、豊富な技術を蓄積してきました。
さらにこの六方排水機場のようにポンプ自体を中核とした施設全体の設計から維持管理、メンテナンスまで対応し地域への貢献を果たしています。

 

「クボタグループの実績があるからこそ僕らが挑めるというか、実績に繋がる技術力やノウハウがあるから、安心して挑戦できるっていうところが強みじゃないかなと思います。
やり遂げることが重要だと思います。」

六方川側から見た六方排水機場・奥に円山川

円山川側から見た六方水門